その進捗率、季節性を無視していませんか?
計算と根拠
ここに書いていない数字は、この画面のどこにも出てきません。
そもそも何が問題なのか
四半期の累計実績を通期の会社予想で割った値を「進捗率」と呼びます。第2四半期で50%なら順調、 という読み方です。これは売上や利益が1年を通じて均等に出る会社にしか当てはまりません。
実際には、季節商材、年度末に納品が寄る法人向けビジネス、期末商戦、大型案件の検収時期などで、 四半期ごとの構成比は大きく偏ります。下期に利益が寄る会社なら第1四半期の進捗15%は例年どおりですし、 上期偏重の会社なら第3四半期で85%でも前倒しではありません。 素の進捗率だけで「未達コース」と早合点すると、決算前に降りる必要のないところで降りることになります。
このツールが季節性をどこから取っているか
あなたが入力した、その会社自身の過去実績だけです。 過去の決算短信から「同じ四半期時点の累計」と「その年の通期実績」を入れると、 その年に「この時点までに通期の何割が済んでいたか」(=構成比)が出ます。 それを平均したものを、このツールでは「例年のこの時点」と呼んでいます。
業種別の季節性の平均値のような統計辞書は、意図的に1つも持っていません。 出典を説明できない数字を、判定の根拠として表示しないためです。 過去実績が1件も入っていない場合は、四半期が均等(各25%)という仮定に切り替わり、その旨を画面に出します。
使っている式(これで全部です)
素の進捗率 = 今期のQn累計 ÷ 通期の会社予想
各年の構成比 = その年のQn累計 ÷ その年の通期実績
例年のこの時点 = 各年の構成比の平均
季節性調整後の進捗率 = 素の進捗率 ÷ 例年のこの時点
着地予測(中心) = 今期のQn累計 ÷ 例年のこの時点
着地予測の下限 = 今期のQn累計 ÷ 構成比の最大値
着地予測の上限 = 今期のQn累計 ÷ 構成比の最小値
会社予想との乖離 = 着地予測(中心) ÷ 通期の会社予想 − 1
式の形からわかるとおり、季節性調整後の進捗率が120%なら、乖離も+20%になります。同じ割り算を、 割合で見るか金額で見るかの違いです。
信号の色を決めているもの
業績予想の修正は、直近の予想値との差が一定以上になったときに開示することとされています。 その目安が売上高で±10%、営業利益・経常利益・当期純利益で±30%です。 このツールは、着地予測がこの水準の外に出ているかどうかだけを見ています。
- 🔴 下方コース 着地予測の上限(=過去でいちばん進みが早かった年の型)でも、会社予想を目安以上に下回る
- 🟠 下振れ寄り 中心では下回るが、上限なら届く
- 🟢 想定ペース 着地予測が会社予想の±目安の内側
- 🔵 上振れ寄り 中心では上回るが、下限だと届かない
- 🔷 上方コース 下限でも会社予想を目安以上に上回る
- ⚪️ 判定不能 通期予想か累計実績が入っていない、または赤字などで進捗率が意味を持たない
これは「修正が出る確率」ではありません。修正が出るかどうかは会社の判断で、下期の見通しの立て方、 一過性の損益、為替の前提など、この画面に入っていない材料で決まります。 このツールが言えるのは「いまのペースが続いた場合、開示の目安に当たる水準まで来ているかどうか」だけです。
あえて持っていないもの
- ・業種別・銘柄別の季節性の統計(出典を説明できないため)
- ・実在企業の通期予想や四半期実績のプリセット(毎四半期動くので、必ず古くなるため)
- ・下方修正が出る確率のモデル(当たり外れを検証できない確率は出さないため)
- ・外部の株価API・財務API(通信そのものがないので、入力が外に出ることもありません)
- ・買い / 売りの推奨(このツールは判断材料を並べるところまでです)
うまく効かない場面(限界)
- ・利益がゼロ近辺、または赤字の期:構成比の割り算が成立しません。該当する年は計算から自動的に外し、理由を画面に出します。
- ・M&A、事業売却、会計方針の変更、決算期の変更があった期:過去の構成比が今期に当てはまりません。その年は入力から外してください。
- ・会社予想が期中に修正された直後:修正後の予想を入れてください。修正前の予想のままだと乖離が二重に出ます。
- ・上場から日が浅い会社:過去実績が2期ぶん揃わないため、幅が出せません。
- ・通期の会社予想を出していない会社(レンジ予想・非開示):レンジ予想なら下限と上限で2回計算してみるのが実務的です。
数字はどこに保存されるか
入力した銘柄名・通期予想・累計実績・過去実績・発表予定日は、 お使いのブラウザの localStorage にだけ保存されます。サーバーには送っていません。 共有用の画像に載るのも、進捗率・判定・四半期・残り日数という数字だけで、銘柄名も金額も入りません。 メール登録をした場合に送信されるのは、メールアドレスだけです。
判定ルールのバージョン: 2026-08(公表資料との突き合わせ: 2026-08-05)
計算例
下の3つは架空の会社です。実在の銘柄の数字は使っていません。
素の進捗率は15%で「未達」に見えるのに、季節性で見ると前倒し。
営業利益・第1四半期/通期予想 10,000百万円/累計 1,500百万円
素の進捗率 15%(均等配分の目安は 25%)
例年のこの時点 13.4% = 過去3期の構成比 13.3% / 12.5% / 14.3% の平均
季節性調整後の進捗率 112.2%(会社予想との乖離 +12.2%)
着地予測 10,500百万円 〜 12,000百万円/ 開示の目安 7,000百万円 〜 13,000百万円
→ 🟢 開示の目安の内側(想定ペース)
半分まで来て42.5%。均等配分の会社なので、これは素直に足りていない。
売上高・第2四半期/通期予想 40,000百万円/累計 17,000百万円
素の進捗率 42.5%(均等配分の目安は 50%)
例年のこの時点 50% = 過去3期の構成比 49% / 50% / 51% の平均
季節性調整後の進捗率 85%(会社予想との乖離 −15%)
着地予測 33,333百万円 〜 34,694百万円/ 開示の目安 36,000百万円 〜 44,000百万円
→ 🔴 下方修正の開示水準に届くコース
9か月で85%まで来ているが、上期偏重の会社なので上振れとは限らない。
経常利益・第3四半期/通期予想 6,000百万円/累計 5,100百万円
素の進捗率 85%(均等配分の目安は 75%)
例年のこの時点 84.4% = 過去2期の構成比 85.2% / 83.7% の平均
季節性調整後の進捗率 100.7%(会社予想との乖離 +0.7%)
着地予測 5,987百万円 〜 6,095百万円/ 開示の目安 4,200百万円 〜 7,800百万円
→ 🟢 開示の目安の内側(想定ペース)